こんにちわ!ツリーバライターのイシザキです!

おっさん達の思い出①の続編です。
おっさんに毒針を除去してもらい、改めて見慣れない魚を目を丸くして観察します。

異形。

中からちっちゃい宇宙人が出てきそうな・・・・。
水族館に行くと目を引く魚の代表格のエイ。独特の形状を持っていて、生命の神秘すら感じさせる・・・と通常なら思うのでしょうが、実際釣り上げるとどこか不気味な雰囲気を持っています。

ぼふっ、げーっぼふぼふ

ヒレを波打たせながら、逆流性食道炎を患ったおっさんの嗚咽と咳のような吐息を放つアカエイ。一瞬おっさんの咳と勘違いし、おっさんの方に目をやりますが、おっさんは静かに、残念そうにアカエイを見ている。

エイおっさんじゃん・・・

おっさん、僕おっさん、エイおっさんの3人に微妙な空気感が流れます。ヒラメを釣らせてあげたかったおっさん、それに応えたかった僕おっさん、空気の薄い地上で咳き込むエイおっさん・・・。

そんな空気を察したのか、大人なおっさんはエイおっさんのフォローに回ります。
おっさん:でもコイツも食ったら美味しいで!スーパーで切り身なんか買うと高いもんや!
僕おっさん:本当ですか!?じゃぁ1匹で結構な量の料理ができそうですね!今日はエイパでもしますわ!
エイおっさん:ぼふ!?げーぼふぼふぼふげー
おっさん:・・・・煮付けにしたら美味しいで。処理が面倒くさいけどな・・・
僕おっさん:え?でも時間かければ素人でもさばけますよね?
おっさん:まぁそうだけどなぁ・・・
エイおっさん:ゴゴゴッ、ゲフっ

「処理が面倒くさい」という言葉。言葉には様々な思いが込められているものです。アカエイの独特な形状から、僕はその時捌くのは確かに面倒くさそうだ、と捌きの難儀のことをおっさんが言っているのだと思っていました。エイおっさんが意味深に咳き込む中、おっさんから僕おっさんは詳しい調理法を聞きます。肝心なことは聞き逃していましたが・・・

容姿は気持ち悪いですが、人生最強クラスの引きとサイズを味あわせてくれたアカエイ。処理が面倒くさいなんてことは些細な悩みに過ぎず、持って帰って食べるという選択しかありえません。黒いゴミぶくろに放り込み早速持ち帰って料理する。黒いゴミ袋にアカエイを放り込み、防波堤を歩く。

ごーふ、ぼうぼふ。ゲーボフボフボフ

黒い袋のなかからエイおっさんの悲鳴が聞こえます。
すれ違う釣り人は不審者を眺めるかのよう僕を見ます。

「小人おっさんでも入っているのか?」

という懐疑の目で僕を見ます。

まだ残暑が厳しい季節。車の中は灼熱です。クーラーボックスの中に入るようなサイズでもなく、そのゴミ袋のまま車に放り込みます。約40分後家に到着。解体作業へ。

生命力が強いのかエイおっさんの咳は相変わらず。
youtubeを見ながら血抜き、解体。

子供の頃に使っていた子供用プールを物置から取り出し、血抜きをし、金たわしで体の滑りを取っていきます。ヒレを切り取り、肝を取り出し、皮を剥いでいきます。

写真は撮っていないですが、撮っていてものせれませんね。まるで殺人現場のような凄惨な現場でした・・・。
約2時間エイと格闘し、料理が出来上がる。
食卓に並ぶエイ料理達。見た目はかなり豪勢ですが、家庭には微妙な空気が流れます。

毒針だけではない。エイには、というか軟骨魚類には大きな特徴があるのをご存知の方は多いでしょう。「微妙な空気」には感情的なものだけではなく、生物学的に人間の嗅覚に訴える「空気」も含まれている。

おいしいね・・・

大物を釣り上げ、一生懸命料理をし、家庭に料理を提供する息子に我が両親はマイナスな発言はしません。

優しい両親に代わって感想を代弁する。
刺身:くっさ!マジくっさ!
唐揚げ:くっさ、てか揚げた後の油までくっさ!
煮物:だよね。くっさ!

数口食べた後、前日の残り物料理を食べ、父親が一言。

美味しかった。もう腹一杯だわ。

だが、希望がまだ残っている。エイといえば・・・

「エイヒレ」

エイ料理の代表格。漬けにした後に天日干しにより旨味成分を加える。
エイヒレならお天道さんの力によってこのしょんべん臭い肉を・・・陽のパワーでかき消してくれるのではないか。

数日後、感想・・・

くっさ!てか家の中くっさ!

エイの力は偉大である。お天道様の力さえはね退け、あまつさえ死してなお圧倒的上位捕食者の人間に対して一泡ふかせるほどの能力を持っている。エイおっさんには申し訳ないが、エイ料理の数々は愛犬の当面のエサとして再利用させてもらいました。

エイおっさんの名誉のために付け加えると、アカエイはきちんと処理すると美味しく食べられるらしい。軟骨魚類独特のアンモニア臭の原因は血中の尿素にあり、捕獲後の迅速な血抜きと調理がエイを美味しく食べるための鉄則らしい。エイおっさんは悪くない。僕おっさんが悪いのだ。

だが、成功した料理が2つある。チャンジャと肝。肝に関しては、巨体だけ合って肝も巨大で、水にさらして血を抜いてから食べればフツーのレバー。チャンジャは刺身を食い切れる自信がなく、コチュジャンやら砂糖やらニンニクやらを加えてエイの臭みを相殺するかのように仕上げた料理。ですが、刺身のトラウマが残るため、臭み自体は感じなくなったが全く美味しく感じない。僕一人で二日かけてやっと平らげました。

次回釣れた時は、1年分のチャンジャを作成し、家庭に振る舞うこととする。そろそろ、両親のトラウマも癒えていることだろうし。

No Tsuri-ba! No Life!

https://tsuri-ba.net/wp-content/uploads/2017/07/IMG_2510.jpghttps://tsuri-ba.net/wp-content/uploads/2017/07/IMG_2510-150x150.jpgいしぽよ釣りTALKエイこんにちわ!ツリーバライターのイシザキです! おっさん達の思い出①の続編です。 おっさんに毒針を除去してもらい、改めて見慣れない魚を目を丸くして観察します。 異形。 中からちっちゃい宇宙人が出てきそうな・・・・。 水族館に行くと目を引く魚の代表格のエイ。独特の形状を持っていて、生命の神秘すら感じさせる・・・と通常なら思うのでしょうが、実際釣り上げるとどこか不気味な雰囲気を持っています。 ぼふっ、げーっぼふぼふ ヒレを波打たせながら、逆流性食道炎を患ったおっさんの嗚咽と咳のような吐息を放つアカエイ。一瞬おっさんの咳と勘違いし、おっさんの方に目をやりますが、おっさんは静かに、残念そうにアカエイを見ている。 エイおっさんじゃん・・・ おっさん、僕おっさん、エイおっさんの3人に微妙な空気感が流れます。ヒラメを釣らせてあげたかったおっさん、それに応えたかった僕おっさん、空気の薄い地上で咳き込むエイおっさん・・・。 そんな空気を察したのか、大人なおっさんはエイおっさんのフォローに回ります。 おっさん:でもコイツも食ったら美味しいで!スーパーで切り身なんか買うと高いもんや! 僕おっさん:本当ですか!?じゃぁ1匹で結構な量の料理ができそうですね!今日はエイパでもしますわ! エイおっさん:ぼふ!?げーぼふぼふぼふげー おっさん:・・・・煮付けにしたら美味しいで。処理が面倒くさいけどな・・・ 僕おっさん:え?でも時間かければ素人でもさばけますよね? おっさん:まぁそうだけどなぁ・・・ エイおっさん:ゴゴゴッ、ゲフっ 「処理が面倒くさい」という言葉。言葉には様々な思いが込められているものです。アカエイの独特な形状から、僕はその時捌くのは確かに面倒くさそうだ、と捌きの難儀のことをおっさんが言っているのだと思っていました。エイおっさんが意味深に咳き込む中、おっさんから僕おっさんは詳しい調理法を聞きます。肝心なことは聞き逃していましたが・・・ 容姿は気持ち悪いですが、人生最強クラスの引きとサイズを味あわせてくれたアカエイ。処理が面倒くさいなんてことは些細な悩みに過ぎず、持って帰って食べるという選択しかありえません。黒いゴミぶくろに放り込み早速持ち帰って料理する。黒いゴミ袋にアカエイを放り込み、防波堤を歩く。 ごーふ、ぼうぼふ。ゲーボフボフボフ 黒い袋のなかからエイおっさんの悲鳴が聞こえます。 すれ違う釣り人は不審者を眺めるかのよう僕を見ます。 「小人おっさんでも入っているのか?」 という懐疑の目で僕を見ます。 まだ残暑が厳しい季節。車の中は灼熱です。クーラーボックスの中に入るようなサイズでもなく、そのゴミ袋のまま車に放り込みます。約40分後家に到着。解体作業へ。 生命力が強いのかエイおっさんの咳は相変わらず。 youtubeを見ながら血抜き、解体。 子供の頃に使っていた子供用プールを物置から取り出し、血抜きをし、金たわしで体の滑りを取っていきます。ヒレを切り取り、肝を取り出し、皮を剥いでいきます。 写真は撮っていないですが、撮っていてものせれませんね。まるで殺人現場のような凄惨な現場でした・・・。 約2時間エイと格闘し、料理が出来上がる。 食卓に並ぶエイ料理達。見た目はかなり豪勢ですが、家庭には微妙な空気が流れます。 毒針だけではない。エイには、というか軟骨魚類には大きな特徴があるのをご存知の方は多いでしょう。「微妙な空気」には感情的なものだけではなく、生物学的に人間の嗅覚に訴える「空気」も含まれている。 おいしいね・・・ 大物を釣り上げ、一生懸命料理をし、家庭に料理を提供する息子に我が両親はマイナスな発言はしません。 優しい両親に代わって感想を代弁する。 刺身:くっさ!マジくっさ! 唐揚げ:くっさ、てか揚げた後の油までくっさ! 煮物:だよね。くっさ! 数口食べた後、前日の残り物料理を食べ、父親が一言。 美味しかった。もう腹一杯だわ。 だが、希望がまだ残っている。エイといえば・・・ 「エイヒレ」 エイ料理の代表格。漬けにした後に天日干しにより旨味成分を加える。 エイヒレならお天道さんの力によってこのしょんべん臭い肉を・・・陽のパワーでかき消してくれるのではないか。 数日後、感想・・・ くっさ!てか家の中くっさ! エイの力は偉大である。お天道様の力さえはね退け、あまつさえ死してなお圧倒的上位捕食者の人間に対して一泡ふかせるほどの能力を持っている。エイおっさんには申し訳ないが、エイ料理の数々は愛犬の当面のエサとして再利用させてもらいました。 エイおっさんの名誉のために付け加えると、アカエイはきちんと処理すると美味しく食べられるらしい。軟骨魚類独特のアンモニア臭の原因は血中の尿素にあり、捕獲後の迅速な血抜きと調理がエイを美味しく食べるための鉄則らしい。エイおっさんは悪くない。僕おっさんが悪いのだ。 だが、成功した料理が2つある。チャンジャと肝。肝に関しては、巨体だけ合って肝も巨大で、水にさらして血を抜いてから食べればフツーのレバー。チャンジャは刺身を食い切れる自信がなく、コチュジャンやら砂糖やらニンニクやらを加えてエイの臭みを相殺するかのように仕上げた料理。ですが、刺身のトラウマが残るため、臭み自体は感じなくなったが全く美味しく感じない。僕一人で二日かけてやっと平らげました。 次回釣れた時は、1年分のチャンジャを作成し、家庭に振る舞うこととする。そろそろ、両親のトラウマも癒えていることだろうし。 No Tsuri-ba! No Life!手は震え、動悸も止まらない釣りWebフリーマガジン