どうもこんにちは。ツリーバ編集長のヒビヤです!
3歳より釣りを初めてかれこれ釣り歴36年、産まれて初めてのアクシデントが起きてしまった。。。
8月12日、朝から天気予報をチョコチョコとチェックしていると東京地方は雨、雷に注意せよと言う注意報がずっと出ていた。
そのため、荒川ナイトシーバスへ行くかどうするか、モヤモヤとしながら一度帰宅し、空模様と睨めっこをしばらくしていると黒い雲が南の方に発生しているのがわかったが取りあえず雨は降っていない。雷の気配も無いので急遽、短時間釣行のつもりで家を出た。
念のためバイク用のカッパを自転車の前かごに放り込み、タックル一式を持って自転車にヒラリと跨り自宅を後にする。
途中、釣り具屋の前に設置された自販機でミネラルウォーターを買い、いつものエントリーポイントへと急ぎ自転車を走らせる。
いつ行ってもシーバスアングラーの姿はなく、ルアーを投げているのは僕ひとりなので急ぐ必要も無いのだが、なんとなく焦ってしまう。
やはりトップウォーターでも釣れる季節が故、このポイントが実は一級ポイントであると言う事に気が付いたアングラーに先を超されてはいけないと言う気持ちからであろう。
到着早々、焦る気持ちを抑えながらタックルを準備し、極端な駆け上がりとストラクチャーからなるポイントをストラクチャーと平行に攻めてみる。
それらしい生命感はあるものの、アタリはない。
テンポよく下流へとランガンし、ストラクチャー周りを丁寧にさぐるもこちらもアタリはない。
更に下り、ストラクチャー周りを探るもここもアタリなし。
今回は粘らずにトントンとテンポよくルアーを投げてダメならさっさと帰る算段のため、ここを折り返し地点として上流側へ引き返しながらルアーを投げて行く。
やはりアタリはなく、それならばチャチャっとやって帰ってビールでも飲むかと諦めモードがピークに達した頃、ちょうどエントリーポイントに戻ってきたところで、潮は干潮となり水面がずいぶんと賑やかな事になっている。
潮は先ほどまでの下げから上げ初めへと移行し、浮遊物が上流へ上流へと流されて行く。
先ほどとは逆に今度は上流へ向かってストラクチャーと平行にルアーをキャストし、トーン、トーンとスローなトゥイッチでルアーを操作する。
水面にはあちこちに流されたアシがプカプカと浮いている。
繰り返しトゥイッチしているとグゥっと竿が重くなったのだが、アシが引っかかったのだろうと思い回収しようとするとバシャバシャ!
どうやらシーバスがルアーを食っていたようである。
これはきたか!と思い再度キャストをすると今度は明確なヒット!
今日はついている。シーバスの活性がとてつもなく高い。あと1時間はこの釣りが楽しめるだろう。
そう思いながら40センチ程度のシーバスをランディングし、すぐにリリースしようとルアーをつまむ。
いつもならフィッシュグリップを使用し、先曲がりのラジオペンチでフックを外し、リリースするのだがこの日はなぜだかルアーの頭をつまんでリリースしようとしてしまった。
その途端ルアーから口を外そうとシーバスは体をバタバタと左右に振り、大暴れ。
イテテ!
チクチクっとルアーのフックが手を刺激する。このようなチクチクとした刺激はいつものこと。特段気にする事ではない。
しかしチクチクする手を見た瞬間、血の気が引いた。
フックのカエシが完全に刺さっているではないか!こんな事があっていいのだろうか。
刺さっているのはトレブルフックの1本だ。いつかネットで見たストリング・ヤンクなんとやらと言う方法で抜く事ができるであろうとたかをくくっていた。
おわかりいただけるだろうか。画面中央、指にささったフックはこのような状態だ。もはや素人にストリング・ヤンクなんとやらができるような状態とは思えない。
フックを切断するにも僕が持っている先曲がりのラジオペンチが入る隙間もない。
そして金属の弾力のせいだろう、常にギューっとしている。
ギューっとしているのだ。鷲づかみされているような感触。
これはあかんやつや!
さてこうなったら病院へ行くしかない。
どこの病院へ行くのが最適なのか。
すぐに頭に浮かんだのは子どものころから行き着けている自宅近所の救急指定の病院だ。
まずは電話で問い合わせである。
片手で巨大なiPhone 6 Plusを操作し、病院の電話番号をググる。
病院のwebサイトから直接コールする事ができない上に番号が画像のためコピーすることができず、記憶して電話をかける。
呼び出し音は鳴るものの、なかなか出てくれない。誰もいないのだろうか。それともこの時間の電話対応は無いのだろうか。
不安に思っていると受付の方が電話口に出た。
僕「もしもし、遅い時間にすみません、あのぉ指に釣り針が刺さってしまいまして、これから診察をお願いしたいのですが、可能でしょうか。」
病院「わかりました、医師に確認しますので少々お待ちください。」
僕「・・・」
病院「・・・」
僕「・・・」
病院「・・・」
病院「もしもし、処置は可能です。場合によっては大きな病院へ行っていただく可能性もあります。」
そして住所やら電話番号やらを伝え、
僕「わかりました。20分ほどで到着します。」
病院「あ、おいくつですか?」
僕「さんじゅうきゅうちゃいでちゅ」
タックルなどもうどうでもいいような気分であるが、放置していくワケにもいかないので片手でなんとか片付けをし、自転車に跨り、ルアーのぶらさがった左手はハンドルを掴まずに宙に浮かせ、汗ダラダラで必死にペダルをこぐ。
この状況で一番緊張したのは交番前の信号待ちだ。
左手に何を持っているのだなどと質問されたらなんと答えればいいのか。ハンドルから左手を離し金属質なものがプラプラしているのだ、見られたら怪しまれるに違いない。
幸いな事に横に並んだ人にも怪しまれる事はなく、ひたすらに自転車のペダルを漕ぎ汗ダクでようやく病院に到着した。
この時間は鍵が閉まっているので時間外用のインターフォンを押すとすぐに受付の方が鍵を開けてくれた。
状況は説明してあるため、問診票に簡単に名前と電話番号を書き呼ばれるのを待つ。僕以外には、誰もいない。
この日当直のお医者さんが診察室に入るとすぐに呼ばれ、恐縮しながら病室へと入り、座るよりも早く指に刺さったルアー、いやルアーの刺さった指を見せると最初にお医者さんが行った言葉が、
「これはやっかいだなぁ」であった。
いったいどうなるのか。明日の仕事は大丈夫なのか。感染症は?神経は?靱帯は大丈夫か?
2007年3月、モトクロスのレース中に右膝から下3箇所を骨折した時の不安感を思い出す。
ベッドに横になりまずは局所麻酔をする。この局所麻酔の薬液が流れ込む感触がまたなんとも言えないチクリ、チクリとする痛みを伴う。
すぐに指の感触がなくなり、まずはフックの切断。
パチンと音とともにフックが切断され、どう外すかをお医者さんが検討しながら処置は進められた。
怖いので、ずっと目を閉じていたが、感触的には貫通させて抜いたようだ。
10分もかからずに処置は無事に終わった。お医者さんとはなんて素晴らしい職業なんだ。こうした肉体的、精神的な苦痛から解放してくれる。
そして周りを見回すも、僕のスーサンが見あたらない。
あれだけフックが深く刺さっていたから、ボディを切断して廃棄されたのか?
恐る恐る聞いてみる。
「あ、あのすみません。僕のルアーはどこにあるのでしょうか?」
すると抜いたフックと一緒にステンレスのトレーに乗せられていた。
わざわざ丁寧にビニール袋に入れて返却してくれた。
深くお礼を言い、22時過ぎには帰宅した。
最悪の事態に備えすぐにバーブレス化していないフックを全てバーブレス化し、深く深く、反省するのであった。
これを見てくださったアングラーの皆さん、バーブレスでも慣れればバラすことはほとんどありません。
服に刺さっても、今回の僕のように手に刺さっても、カエシさえ無ければすんなり外す事ができます。魚のリリースもスっと簡単にできます。
あってはならない事ですが、万一他人にフックが刺さってもすぐに外す事ができます。
是非バーブレスでの釣りを検討してください。
また、もし刺さってしまった時は無理をせず、すぐに病院へ行って処置をしてもらってください。
無理に外す事によって靱帯や血管に傷を付けてしまったら大変な事になってしまいます。
それでは安全に、楽しく、今日もNo Tsuri-ba! No Life!