出典:大阪日日新聞

「わが家で新鮮な魚を食することができるのは俺が釣りをするからだ!」などと、さも自分の趣味を家族が認めているかのごとく思い込んでいる釣り師は多いものだ。しかし、私が知る限り家族から迷惑に思われていることはあっても、認められていることはほとんどない。女房に至ってはその趣味を持つ亭主と結婚したことを後悔しているフシすらある。

日本フィッシング会館に再現された服部善郎名人の「釣りの部屋」
日本フィッシング会館に再現された服部善郎名人の「釣りの部屋」

亭主は家庭サービスなどそっちのけで週末は決まって海や川に出掛ける。自分は、家計をやりくりし、ほしいバックや洋服も我慢しているのに、交通費や餌代など相当の経費をかけて釣行に及んでいることは間違いないと想像できるから余計に憎たらしい。

家の中に目を転じると、次々と増殖するかのごとく増える道具に「魚を釣るのに竿(さお)は一本で十分じゃないの?」なんて言葉がなじるように発せられる。竿を新調したパッケージに書かれてある価格「○万円」を発見した妻は激怒する。釣具店で「パッケージは不要です」と、中身だけ持って帰る人が多いと聞くが、こんな家庭の事情があるからに違いない。

めったにない釣果に恵まれて、いかにも食卓に華を添えたと言わんばかりに胸を張る亭主に「買ったほうがよっぽど安い」なんて悪態をついても、その程度では到底腹の虫が治まらないからやっかいだ。

▽不潔な洗濯物

釣り師の女房の不機嫌は次の日の洗濯の瞬間にも及ぶ。古書には、釣りの帰りに愛人宅へ獲物を持って訪れたが、醸し出す臭いにその日は招き入れてはもらえなかったと書かれている。釣り人が釣りを終えて帰宅した時、放つ臭いは昔も今も同じに違いない。

まず、臭いの原因は、エサが一番疑わしい。川釣りならサナギやウイキョウ末、海釣りならイワシのミンチなどエサそのものが臭いの強いものが多い上、集魚効果のあるまぶし粉や配合エサと併用するので、嫌でも体や服に臭いが移ってしまう。この強烈な臭いのする不潔な洗濯物を一緒には洗えない。二度手間に無性に腹が立つ。

▽魚を捌く苦痛

もう一つ、釣り師の女房が嫌う極め付きは、魚を捌(さば)くことだ。家族がおいしく食べられる適当な量ならまだしも、「大漁!」と亭主が上機嫌で釣果を誇る時ほど、比例して不機嫌になる。

魚はスーパーの切り身が普通の世の中で、亭主が釣りをするばっかりに魚を捌く苦痛が伴うことにも我慢がならない。

こうなると、楽しそうに釣り番組を見ている亭主の姿をみているだけで不愉快になり、「釣り」そのものも嫌悪の対象になって「釣りが人生の全て」のような亭主がアホに見えて仕方がない。

釣り師の女房はいらつくらしい。

 

釣りのためなら家事選択、子育て、頑張りましょう!それでは今日も、No Tsuri-ba! No Life!

https://tsuri-ba.net/wp-content/uploads/2015/11/IP151105TAN000053000.jpghttps://tsuri-ba.net/wp-content/uploads/2015/11/IP151105TAN000053000-150x150.jpgtsuri-ba釣りTALK女房,釣り,釣りバカ出典:大阪日日新聞 「わが家で新鮮な魚を食することができるのは俺が釣りをするからだ!」などと、さも自分の趣味を家族が認めているかのごとく思い込んでいる釣り師は多いものだ。しかし、私が知る限り家族から迷惑に思われていることはあっても、認められていることはほとんどない。女房に至ってはその趣味を持つ亭主と結婚したことを後悔しているフシすらある。 亭主は家庭サービスなどそっちのけで週末は決まって海や川に出掛ける。自分は、家計をやりくりし、ほしいバックや洋服も我慢しているのに、交通費や餌代など相当の経費をかけて釣行に及んでいることは間違いないと想像できるから余計に憎たらしい。 家の中に目を転じると、次々と増殖するかのごとく増える道具に「魚を釣るのに竿(さお)は一本で十分じゃないの?」なんて言葉がなじるように発せられる。竿を新調したパッケージに書かれてある価格「○万円」を発見した妻は激怒する。釣具店で「パッケージは不要です」と、中身だけ持って帰る人が多いと聞くが、こんな家庭の事情があるからに違いない。 めったにない釣果に恵まれて、いかにも食卓に華を添えたと言わんばかりに胸を張る亭主に「買ったほうがよっぽど安い」なんて悪態をついても、その程度では到底腹の虫が治まらないからやっかいだ。 ▽不潔な洗濯物 釣り師の女房の不機嫌は次の日の洗濯の瞬間にも及ぶ。古書には、釣りの帰りに愛人宅へ獲物を持って訪れたが、醸し出す臭いにその日は招き入れてはもらえなかったと書かれている。釣り人が釣りを終えて帰宅した時、放つ臭いは昔も今も同じに違いない。 まず、臭いの原因は、エサが一番疑わしい。川釣りならサナギやウイキョウ末、海釣りならイワシのミンチなどエサそのものが臭いの強いものが多い上、集魚効果のあるまぶし粉や配合エサと併用するので、嫌でも体や服に臭いが移ってしまう。この強烈な臭いのする不潔な洗濯物を一緒には洗えない。二度手間に無性に腹が立つ。 ▽魚を捌く苦痛 もう一つ、釣り師の女房が嫌う極め付きは、魚を捌(さば)くことだ。家族がおいしく食べられる適当な量ならまだしも、「大漁!」と亭主が上機嫌で釣果を誇る時ほど、比例して不機嫌になる。 魚はスーパーの切り身が普通の世の中で、亭主が釣りをするばっかりに魚を捌く苦痛が伴うことにも我慢がならない。 こうなると、楽しそうに釣り番組を見ている亭主の姿をみているだけで不愉快になり、「釣り」そのものも嫌悪の対象になって「釣りが人生の全て」のような亭主がアホに見えて仕方がない。 釣り師の女房はいらつくらしい。   釣りのためなら家事選択、子育て、頑張りましょう!それでは今日も、No Tsuri-ba! No Life!手は震え、動悸も止まらない釣りWebフリーマガジン