どうもこんにちは!ツリーバ編集長のヒビヤです。

前日漬けこんだイワナは干物ネットに入れて尻尾から吊るし、表面やお腹の中がよく乾くまで乾燥させて燻製の準備にとりかかる。

この時に開いたお腹には楊枝を2本、はしごのように差しておくと中までしっかりと乾燥する。また初期の段階で口から吊るしておくと口が開いた状態で固定され、逆さにした時に口から余分な水分が抜け、見た目もかっこよくなる。

と、仙人サトヤンさんから教わりそのようにしてみると、なんともそれらしく見えるではないか。

こうして釣ったイワナを燻製にして売り歩く。

憧れの職漁師になった気分だ。

話は変わるが家族でキャンプ釣行に来た際は山奥へは一人で行くことになるわけだが、あまり時間はかけられない。

ファーザーズアングラーの辛いところではあるが、ここはそもそもが標高1000メートルに位置しており本流と接続される支流は無数にある。

これまで長年自分の足で歩いて見つけた沢や、山の仙人たちから教わった沢など頭の中にデータベースができているので、例えば往復で2時間も猶予がない、となればそのような場所を思い出しそこへ行く。1時間しかないのであれば放流ものが含まれるがテントの目の前で釣りをするのもいいだろう。

釣りをせずに登山をしたっていい。トレッキングをしたいなら尾瀬に行けばいい。

こんなことができるのが檜枝岐村独特の山に囲まれた土地ならではであり、これができるからこそ交通の便の悪い檜枝岐村へ月に何度かは通ってしまうのだ。

そして現地では同じくこの土地の山々、釣りに魅了された仙人たちと会える。

日頃は接点のない仙人たちだが、ひとたび現地で会えば釣り談義に華が咲き、夜は山の恵み、差し入れを肴に酒を飲む。

そしていつまでたってもワタシが最年少なのは、やはり若い釣り人がなかなか増えていない証拠なのかもしれない。

そんな七入りオートキャンプ場へ通いはじめて早10年が経過した。

常連と化した今では薪を自由に使わせていただけるのだが、やはり以前のような野性味溢れるキャンプがしたい。子どもたちにも教えたい。

と言う事で、今回は燻製の熱源に、夜の暖を取るために、と家族で薪となる木を拾い、切りそろえてストックすると言うアウトドアの基本を子どもたちに教えてみた。

流木や伐採された薪に丁度良い木が河原には沢山あるのでそれらをガサゴソと拾い集め、細い枝は焚き付け用に、少し太いものは初期の燃焼に、太いものはクライマックス用にと3種類にわけておく。

これで準備は万端、火力調整も自由自在だ。

この日も真昼間に温泉へと行ったのだが、檜枝岐村のキャンプ場を含む宿泊施設利用者はそこで風呂券を買えばなんと300円で温泉に入れるのだ。幼児は無料、4歳から250円となる。

都内で銭湯に入るよりも安く温泉が楽しめる。ワタシが一番気に入っているのは硫黄が楽しめる「燧の湯」だ。

それ以外には「駒の湯」「アルザの湯」があり、特にアルザには大きな滑り台のあるプールが併設されているので体力ありあまるお子さんと一緒に行かれると楽しめるだろう。

また敷地内で食事もできるので、家族連れには最適である。

この日は薪拾いと温泉を楽しんでしまったのと、なんだかあまり釣りをする気分でなくなってしまったのだが、台風が近づいていると言う事で今日やらねば今回の釣行ではもうできなくなってしまうかもしれないと、気持ちを切り替えて2時間弱、天然イワナ狙いで本流上流部へと向かう事にした。

当初入ろうかと思っていた場所に先行者の車があったのでさらに上流部をめざしオートバイを走らせる。

入渓に使う沢はいくつかあるのだが、一本目だと先行者とバッティングする可能性もあるので、堰堤よりさらに先の沢から入渓し、次の堰堤までを今回のポイントに選んだ。

踏み跡の感じからしてワタシが入る少し前に入渓者がいたようだ。狭い沢とは言え、その全部をしらみつぶしに狙えるわけではないのだから、きっとどこかにイワナがいるはずである。

時計を見ると1時間半ほどしかワタシに許された時間はない。

じっくり狙うのであれば3時間はかかるコース。

超ハイペースで遡行していく!

いつもなら出るような落ち込みでも全くイワナの気配がない。スっと逃げるイワナも見えない。なんだか今年はタイミングが悪いのか、そういう年なのか、どうもイマイチだ。

数匹姿の見える場所もあったのだが、警戒心が強く距離が離れているにも関わらずサっと逃げてしまう。

流れがかなり細くなったところで毛バリを飛ばし、打ち返そうと竿を振り上げると、一瞬グっと抵抗を感じたと思うが早いか、ビョーンっとイワナが振り子のように後ろに飛んでいく。

一番面白くない釣れ方、

いつの間にか食っていた!

をやってしまった。

それでも一匹は一匹だ。少々小ぶりだが綺麗な天然イワナをキープ。

ペースを落とさずさらに遡行していく。

時計を見ると16時30分。曇り空かつ日が傾き始め、そろそろ藪漕ぎして林道に出た方が良いかもしれない。しかしよくわからないところでのエスケープは万一の事を考えると、不安である。

もう少しで次の堰堤と言うところで怪しげな流れに毛バリを打ち、少し流して毛バリがすぐ目の前まで来たところで、どこにいたのかまったわからなかった良型イワナがグワっと飛び出して毛バリを咥えた。

瞬間的な電撃フッキング!

たまらない!

良型には違いないが、ヒレが大きく強い流れの中で育ったイワナはその見た目以上の引きをする。

美しい。なんて美しいのだ。

残りの時間で堰堤まで行こうかと思ったところで飛ばした毛バリが岩の隙間にあった流木にひっかかる。拾ってみてみると、なぜかハリスが切れていた。

ここでもう終わりにしろと言われているような気がし、ここで納竿することとした。

堰堤の手前の激斜面を登れば林道に出られる事は知っているのだが、ふと対岸を見ると踏み跡が見える。

もしやあそこから出れば楽に出られるのでは?

さっきのハリス切れはこれを教えるためだったのか?

恐る恐る岩をよじのぼり踏み跡に沿って進んでいくと、川から逸れていく形で山道のようにずーっと伸びている。

なんだここは?なんのための道なんだ?

狐につままれたような気持ちで木々に囲まれた謎の道を進んで行く。

本当に仙人でも会えそうな不思議な道である。

ん?

ん?

あ!ここ知ってる!

前にも抜けたことあるじゃん!

って言うかなんで前回わざわざあの激斜面ハァハァしながら登ったんだよ。。。

オートバイをデポした場所まで下り、天場へと向けて走りだすと濡れた体がとても冷たい。

寒い!

着替えて焚火にあたっていると仙人のひとりから台風大接近の知らせが。。。

もちろん山遊びをする者として天気予報には注意しているのだが、いかんせんソフトバンクは電波が届かない。

だから携帯を携帯していてもいざという時には助けを呼べない。。。キャリアの乗り換えも考えねばならぬだろう。

翌日から台風、秋雨前線の影響で雨風ともに強くなりそうとの事で、一日早く帰る決断をする。

焚火を眺めていると、もう間もなく禁漁となる寂しさ、季節の移ろい、また訪れる現実、色々な思いが複雑に絡み合い、煙となって空高く上っていく。

帰りたくないでござる!

それでは今日も、No Tsuri-ba! No Life!

https://tsuri-ba.net/wp-content/uploads/2017/09/IMG_3839.jpghttps://tsuri-ba.net/wp-content/uploads/2017/09/IMG_3839-150x150.jpgtsuri-ba渓流・源流の釣りイワナ,テンカラ,檜枝岐村,源流どうもこんにちは!ツリーバ編集長のヒビヤです。 前日漬けこんだイワナは干物ネットに入れて尻尾から吊るし、表面やお腹の中がよく乾くまで乾燥させて燻製の準備にとりかかる。 この時に開いたお腹には楊枝を2本、はしごのように差しておくと中までしっかりと乾燥する。また初期の段階で口から吊るしておくと口が開いた状態で固定され、逆さにした時に口から余分な水分が抜け、見た目もかっこよくなる。 と、仙人サトヤンさんから教わりそのようにしてみると、なんともそれらしく見えるではないか。 こうして釣ったイワナを燻製にして売り歩く。 憧れの職漁師になった気分だ。 話は変わるが家族でキャンプ釣行に来た際は山奥へは一人で行くことになるわけだが、あまり時間はかけられない。 ファーザーズアングラーの辛いところではあるが、ここはそもそもが標高1000メートルに位置しており本流と接続される支流は無数にある。 これまで長年自分の足で歩いて見つけた沢や、山の仙人たちから教わった沢など頭の中にデータベースができているので、例えば往復で2時間も猶予がない、となればそのような場所を思い出しそこへ行く。1時間しかないのであれば放流ものが含まれるがテントの目の前で釣りをするのもいいだろう。 釣りをせずに登山をしたっていい。トレッキングをしたいなら尾瀬に行けばいい。 こんなことができるのが檜枝岐村独特の山に囲まれた土地ならではであり、これができるからこそ交通の便の悪い檜枝岐村へ月に何度かは通ってしまうのだ。 そして現地では同じくこの土地の山々、釣りに魅了された仙人たちと会える。 日頃は接点のない仙人たちだが、ひとたび現地で会えば釣り談義に華が咲き、夜は山の恵み、差し入れを肴に酒を飲む。 そしていつまでたってもワタシが最年少なのは、やはり若い釣り人がなかなか増えていない証拠なのかもしれない。 そんな七入りオートキャンプ場へ通いはじめて早10年が経過した。 常連と化した今では薪を自由に使わせていただけるのだが、やはり以前のような野性味溢れるキャンプがしたい。子どもたちにも教えたい。 と言う事で、今回は燻製の熱源に、夜の暖を取るために、と家族で薪となる木を拾い、切りそろえてストックすると言うアウトドアの基本を子どもたちに教えてみた。 流木や伐採された薪に丁度良い木が河原には沢山あるのでそれらをガサゴソと拾い集め、細い枝は焚き付け用に、少し太いものは初期の燃焼に、太いものはクライマックス用にと3種類にわけておく。 これで準備は万端、火力調整も自由自在だ。 この日も真昼間に温泉へと行ったのだが、檜枝岐村のキャンプ場を含む宿泊施設利用者はそこで風呂券を買えばなんと300円で温泉に入れるのだ。幼児は無料、4歳から250円となる。 都内で銭湯に入るよりも安く温泉が楽しめる。ワタシが一番気に入っているのは硫黄が楽しめる「燧の湯」だ。 それ以外には「駒の湯」「アルザの湯」があり、特にアルザには大きな滑り台のあるプールが併設されているので体力ありあまるお子さんと一緒に行かれると楽しめるだろう。 また敷地内で食事もできるので、家族連れには最適である。 この日は薪拾いと温泉を楽しんでしまったのと、なんだかあまり釣りをする気分でなくなってしまったのだが、台風が近づいていると言う事で今日やらねば今回の釣行ではもうできなくなってしまうかもしれないと、気持ちを切り替えて2時間弱、天然イワナ狙いで本流上流部へと向かう事にした。 当初入ろうかと思っていた場所に先行者の車があったのでさらに上流部をめざしオートバイを走らせる。 入渓に使う沢はいくつかあるのだが、一本目だと先行者とバッティングする可能性もあるので、堰堤よりさらに先の沢から入渓し、次の堰堤までを今回のポイントに選んだ。 踏み跡の感じからしてワタシが入る少し前に入渓者がいたようだ。狭い沢とは言え、その全部をしらみつぶしに狙えるわけではないのだから、きっとどこかにイワナがいるはずである。 時計を見ると1時間半ほどしかワタシに許された時間はない。 じっくり狙うのであれば3時間はかかるコース。 超ハイペースで遡行していく! いつもなら出るような落ち込みでも全くイワナの気配がない。スっと逃げるイワナも見えない。なんだか今年はタイミングが悪いのか、そういう年なのか、どうもイマイチだ。 数匹姿の見える場所もあったのだが、警戒心が強く距離が離れているにも関わらずサっと逃げてしまう。 流れがかなり細くなったところで毛バリを飛ばし、打ち返そうと竿を振り上げると、一瞬グっと抵抗を感じたと思うが早いか、ビョーンっとイワナが振り子のように後ろに飛んでいく。 一番面白くない釣れ方、 いつの間にか食っていた! をやってしまった。 それでも一匹は一匹だ。少々小ぶりだが綺麗な天然イワナをキープ。 ペースを落とさずさらに遡行していく。 時計を見ると16時30分。曇り空かつ日が傾き始め、そろそろ藪漕ぎして林道に出た方が良いかもしれない。しかしよくわからないところでのエスケープは万一の事を考えると、不安である。 もう少しで次の堰堤と言うところで怪しげな流れに毛バリを打ち、少し流して毛バリがすぐ目の前まで来たところで、どこにいたのかまったわからなかった良型イワナがグワっと飛び出して毛バリを咥えた。 瞬間的な電撃フッキング! たまらない! 良型には違いないが、ヒレが大きく強い流れの中で育ったイワナはその見た目以上の引きをする。 美しい。なんて美しいのだ。 残りの時間で堰堤まで行こうかと思ったところで飛ばした毛バリが岩の隙間にあった流木にひっかかる。拾ってみてみると、なぜかハリスが切れていた。 ここでもう終わりにしろと言われているような気がし、ここで納竿することとした。 堰堤の手前の激斜面を登れば林道に出られる事は知っているのだが、ふと対岸を見ると踏み跡が見える。 もしやあそこから出れば楽に出られるのでは? さっきのハリス切れはこれを教えるためだったのか? 恐る恐る岩をよじのぼり踏み跡に沿って進んでいくと、川から逸れていく形で山道のようにずーっと伸びている。 なんだここは?なんのための道なんだ? 狐につままれたような気持ちで木々に囲まれた謎の道を進んで行く。 本当に仙人でも会えそうな不思議な道である。 ん? ん? あ!ここ知ってる! 前にも抜けたことあるじゃん! って言うかなんで前回わざわざあの激斜面ハァハァしながら登ったんだよ。。。 オートバイをデポした場所まで下り、天場へと向けて走りだすと濡れた体がとても冷たい。 寒い! 着替えて焚火にあたっていると仙人のひとりから台風大接近の知らせが。。。 もちろん山遊びをする者として天気予報には注意しているのだが、いかんせんソフトバンクは電波が届かない。 だから携帯を携帯していてもいざという時には助けを呼べない。。。キャリアの乗り換えも考えねばならぬだろう。 翌日から台風、秋雨前線の影響で雨風ともに強くなりそうとの事で、一日早く帰る決断をする。 焚火を眺めていると、もう間もなく禁漁となる寂しさ、季節の移ろい、また訪れる現実、色々な思いが複雑に絡み合い、煙となって空高く上っていく。 帰りたくないでござる! それでは今日も、No Tsuri-ba! No Life!手は震え、動悸も止まらない釣りWebフリーマガジン