どうもこんにちは!ツリーバ編集長のヒビヤです。

前日の釣行で折れてしまったテンカラ竿、天平の#1を予備のものに交換したテンカラ竿と渓流竿、プラティパス、そしてキャンプ場オーナーが持たせてくれたシシタケの炊き込みご飯をリュックに入れ、カブで林道をひたすら走る。

目指すは以前挑戦したものの入渓地点が見つけられず断念したあのポイントだ。

5時30分出発。このシーズンの駆け込み需要を心配していたがワタシのようにピークを詰める釣り人はいないようだ。

何せカブで30分走り、1時間以上、2時間近く登山をしなくてはならないのだ。そこまでする釣り人はそう多くはない。

なぜならそこまでしなくても釣れるからだ。

かと言って全くいないわけではない。ワタシのように誰もいない山奥にロマンを求める釣り人も少なからずいるのだ。

釣りの基本中の基本の道具立てでこれだけの冒険ができるのだからやらない手は無い。日本のシンプルな釣りが欧米で人気が出のも頷ける。

カブで行けるところまで行くと車が二台停まっているが心配はない。上述した通りピークまで行く釣り人はそう多くはない。

前回よりも道は激しく崩れ、秋を迎えた夏草たちはまだまだ生きようと深く、行く手を阻む。

源流の釣りで怖いのは滑落や水没はもちろんのこと、落石も怖い。

最近は富士登山ブームも手伝ってかきちんと専用のヘルメットを被る人も多い。

もちろん軽自動車なみの落石があればヘルメットを被っていようともその効果は無いに等しいと思うが、直撃すれば失神する程度の大きさの石、あるいは滑落などをしてもヘルメットを被っているか否かでは結果が大きく変わるだろう。

または遡行中に木の枝や倒木を潜るようなシーンでは帽子よりもはるかに痛くない。

本当は赤いドカチンメットが格好いいのだが、ワタシはBMX用のヘルメットを着用している。特に深い意味はないのだが登山や沢登りに手持ちのもので一番マッチしそうだったからと言う理由だ。

そしてもう一つ怖いのが、熊だ。

熊鈴を付けてリンリンと音をさせながら歩くのも良いのだが、実はあまり信用できないと言う話もあり、一番効果があるのは人の声だそうだ。

砂嵐でも良いのでラジオを付けておくと良いと聞いたこともある。

人の声に怯えるのであれば何もラジオなどを付けなくとも自分で声を発すれば良い。

たまに手を叩き、適当にあぁ!とか、おぉ!とか、奇声を発する。

こんなことを町中でやれば明らかに通報事案だ。

幸いにもここは誰もいない山奥。

林道も終わりいよいよ尾根に沿ってピークを詰め始める。

降りられる下降ポイントはこのあたりにあるはず。それを探すため右往左往するが見当たらないどころか危険極まりない場所ばかり。とてもではないがこれは無理だ。

ザイルがあれば降りられるとは思うのだが、万一上がれなくなくなった時の事を考えると一人では危険だ。

ピンクのリボンを目印に道なき尾根をさらに登りわりとフラットに渓まで続く斜面を見つけたので慎重に降りていくと滑床から深い釜を持つゴルジュへと変わるなんとも豪快な場所に出た。

釜をかわし右にかくんと折れたゴルジュの先を見ると、

気色悪い!

なんとも不気味である。しかも水量が多くこれを一人で行くのは危険と判断し降りた斜面を引き返す。

どうも今回も見当違いな場所へ来てしまったようだ。

進むべきか戻るべきか悩んだが、このままポイントが見つからないと釣りも何もできずに帰ることになってしまう。

それであれば途中の枝沢を下り沢へと出てはどうだろうか。

尾根を下り元来た林道をさらに下る。すんなりと入り込むことのできる枝沢を下っていくとほどなくこの枝沢そのものが素晴らしい沢であることがわかってきた。

あまり荒らさぬよう深い藪を漕ぎ沢から外れたルートをとる。

ガサガサと自分の背よりも高い藪を漕ぎもう間もなく沢に到着すると言うところで、

チクチクチクチク!

いてててててててて!

虫か!

首の左側を何かに刺されたようで痛みとともに熱を感じる。とにかく痛くて熱い。

タオルで払い、胸元まで拭うと拭った通りに痛みが走る。

なんだこれは!

全然痛みが引かない!

後でわかったことだが、この痛みは虫ではなくイラクサの毒が原因のようだ。

痛みで目眩がしそうだが沢は目の前である。しかも素晴らしい渓相だ。なんとも言えぬ痛さと熱さを堪えながらテンカラ竿に仕掛けを付けると深みのあるフラットなポイントに打ち込む。

良型のイワナがスッと毛鉤を追うのが見えた。

捨て鉤を数回打ち込んだあとに沈めつつ流すと道糸が横に走り持ち手を引かれる。

今だっ!

それっ!

思いっきりアワセを叩き込むとズシっとした重量感が伝わり右へ左へ、下流へと走りまた上流へと上ろうとする。

テンカラ竿、激曲がり!

もの凄い力だ。

なんとか魚をいなしイワナがタモに入った。なんとも勇ましく美しい顔をしたオスの尺イワナだ。

少し上流を狙うとすぐに良型のイワナがヒットし、遡行しながら立て続けに3匹のイワナが顔を出した。

パラダイスや!

ここはイワナのパラダイスや!

ひゃっほ〜い!

誰もいない沢で一人小躍りをし少し遡行すると酷く巨大な岩が落石した痕跡を残す場所が出てきた。そのすぐ先は滝で直登はできず巻くしかなさそうだが恐らく元来た道を戻ってどこかからか降りる形になるのだろう。

これは藪がまだ深くなる前の季節に来ないと全貌が見えない。

手前にある深い落ち込みに毛鉤を打ち込んだ瞬間、全く姿の見えなかった良型イワナが3匹ほど飛び出してきて毛鉤を食った!

今だっ!

それっ!

無抵抗。

食わなかったのか?いやそんなはずは。。。

合わせ切れである。

くそーう!

その後も何度か出てきたが食うには至らず、林道に出るための枝沢を釣り上がって行くと落ち込みにいる良型のイワナを見つけた。

毛鉤を打ち込むと食った!

今だっ!

それっ!

食わなかったのか?いやそんなはずは。。。

合わせ切れである。

またか。。。

これをきっかけに1時間ほどかけてカブのところへと戻ることにした。

9月も終わりとは思えぬ空と太陽。あと2か月もしたら雪が降るなどとても信じられない。

真夏のような太陽の下、山奥でひとり食べるシシタケの炊き込みご飯とシソで味噌を包み揚げたシソ巻きはこの秋最高のご馳走であった。

今回の釣行をもって2018年の源流釣りは終わりを迎えた。この空を見るのもまたしばらく先のことになるだろう。

釣りをするよりも登山の時間が長かったが、その短い時間であれだけ釣れたのだ。最後の悪あがきで良い釣りができたのではないだろうか。

それでは今日も、No Tsuri-ba! No Life!


https://tsuri-ba.net/wp-content/uploads/2018/12/saigono02.jpghttps://tsuri-ba.net/wp-content/uploads/2018/12/saigono02-150x150.jpgtsuri-ba渓流・源流の釣り2018,イワナ,テンカラ,檜枝岐,毛鉤,渓流,源流,禁漁どうもこんにちは!ツリーバ編集長のヒビヤです。 前日の釣行で折れてしまったテンカラ竿、天平の#1を予備のものに交換したテンカラ竿と渓流竿、プラティパス、そしてキャンプ場オーナーが持たせてくれたシシタケの炊き込みご飯をリュックに入れ、カブで林道をひたすら走る。 目指すは以前挑戦したものの入渓地点が見つけられず断念したあのポイントだ。 5時30分出発。このシーズンの駆け込み需要を心配していたがワタシのようにピークを詰める釣り人はいないようだ。 何せカブで30分走り、1時間以上、2時間近く登山をしなくてはならないのだ。そこまでする釣り人はそう多くはない。 なぜならそこまでしなくても釣れるからだ。 かと言って全くいないわけではない。ワタシのように誰もいない山奥にロマンを求める釣り人も少なからずいるのだ。 釣りの基本中の基本の道具立てでこれだけの冒険ができるのだからやらない手は無い。日本のシンプルな釣りが欧米で人気が出のも頷ける。 カブで行けるところまで行くと車が二台停まっているが心配はない。上述した通りピークまで行く釣り人はそう多くはない。 前回よりも道は激しく崩れ、秋を迎えた夏草たちはまだまだ生きようと深く、行く手を阻む。 源流の釣りで怖いのは滑落や水没はもちろんのこと、落石も怖い。 最近は富士登山ブームも手伝ってかきちんと専用のヘルメットを被る人も多い。 もちろん軽自動車なみの落石があればヘルメットを被っていようともその効果は無いに等しいと思うが、直撃すれば失神する程度の大きさの石、あるいは滑落などをしてもヘルメットを被っているか否かでは結果が大きく変わるだろう。 または遡行中に木の枝や倒木を潜るようなシーンでは帽子よりもはるかに痛くない。 本当は赤いドカチンメットが格好いいのだが、ワタシはBMX用のヘルメットを着用している。特に深い意味はないのだが登山や沢登りに手持ちのもので一番マッチしそうだったからと言う理由だ。 そしてもう一つ怖いのが、熊だ。 熊鈴を付けてリンリンと音をさせながら歩くのも良いのだが、実はあまり信用できないと言う話もあり、一番効果があるのは人の声だそうだ。 砂嵐でも良いのでラジオを付けておくと良いと聞いたこともある。 人の声に怯えるのであれば何もラジオなどを付けなくとも自分で声を発すれば良い。 たまに手を叩き、適当にあぁ!とか、おぉ!とか、奇声を発する。 こんなことを町中でやれば明らかに通報事案だ。 幸いにもここは誰もいない山奥。 林道も終わりいよいよ尾根に沿ってピークを詰め始める。 降りられる下降ポイントはこのあたりにあるはず。それを探すため右往左往するが見当たらないどころか危険極まりない場所ばかり。とてもではないがこれは無理だ。 ザイルがあれば降りられるとは思うのだが、万一上がれなくなくなった時の事を考えると一人では危険だ。 ピンクのリボンを目印に道なき尾根をさらに登りわりとフラットに渓まで続く斜面を見つけたので慎重に降りていくと滑床から深い釜を持つゴルジュへと変わるなんとも豪快な場所に出た。 釜をかわし右にかくんと折れたゴルジュの先を見ると、 気色悪い! なんとも不気味である。しかも水量が多くこれを一人で行くのは危険と判断し降りた斜面を引き返す。 どうも今回も見当違いな場所へ来てしまったようだ。 進むべきか戻るべきか悩んだが、このままポイントが見つからないと釣りも何もできずに帰ることになってしまう。 それであれば途中の枝沢を下り沢へと出てはどうだろうか。 尾根を下り元来た林道をさらに下る。すんなりと入り込むことのできる枝沢を下っていくとほどなくこの枝沢そのものが素晴らしい沢であることがわかってきた。 あまり荒らさぬよう深い藪を漕ぎ沢から外れたルートをとる。 ガサガサと自分の背よりも高い藪を漕ぎもう間もなく沢に到着すると言うところで、 チクチクチクチク! いてててててててて! 虫か! 首の左側を何かに刺されたようで痛みとともに熱を感じる。とにかく痛くて熱い。 タオルで払い、胸元まで拭うと拭った通りに痛みが走る。 なんだこれは! 全然痛みが引かない! 後でわかったことだが、この痛みは虫ではなくイラクサの毒が原因のようだ。 痛みで目眩がしそうだが沢は目の前である。しかも素晴らしい渓相だ。なんとも言えぬ痛さと熱さを堪えながらテンカラ竿に仕掛けを付けると深みのあるフラットなポイントに打ち込む。 良型のイワナがスッと毛鉤を追うのが見えた。 捨て鉤を数回打ち込んだあとに沈めつつ流すと道糸が横に走り持ち手を引かれる。 今だっ! それっ! 思いっきりアワセを叩き込むとズシっとした重量感が伝わり右へ左へ、下流へと走りまた上流へと上ろうとする。 テンカラ竿、激曲がり! もの凄い力だ。 なんとか魚をいなしイワナがタモに入った。なんとも勇ましく美しい顔をしたオスの尺イワナだ。 少し上流を狙うとすぐに良型のイワナがヒットし、遡行しながら立て続けに3匹のイワナが顔を出した。 パラダイスや! ここはイワナのパラダイスや! ひゃっほ〜い! 誰もいない沢で一人小躍りをし少し遡行すると酷く巨大な岩が落石した痕跡を残す場所が出てきた。そのすぐ先は滝で直登はできず巻くしかなさそうだが恐らく元来た道を戻ってどこかからか降りる形になるのだろう。 これは藪がまだ深くなる前の季節に来ないと全貌が見えない。 手前にある深い落ち込みに毛鉤を打ち込んだ瞬間、全く姿の見えなかった良型イワナが3匹ほど飛び出してきて毛鉤を食った! 今だっ! それっ! 無抵抗。 食わなかったのか?いやそんなはずは。。。 合わせ切れである。 くそーう! その後も何度か出てきたが食うには至らず、林道に出るための枝沢を釣り上がって行くと落ち込みにいる良型のイワナを見つけた。 毛鉤を打ち込むと食った! 今だっ! それっ! 食わなかったのか?いやそんなはずは。。。 合わせ切れである。 またか。。。 これをきっかけに1時間ほどかけてカブのところへと戻ることにした。 9月も終わりとは思えぬ空と太陽。あと2か月もしたら雪が降るなどとても信じられない。 真夏のような太陽の下、山奥でひとり食べるシシタケの炊き込みご飯とシソで味噌を包み揚げたシソ巻きはこの秋最高のご馳走であった。 今回の釣行をもって2018年の源流釣りは終わりを迎えた。この空を見るのもまたしばらく先のことになるだろう。 釣りをするよりも登山の時間が長かったが、その短い時間であれだけ釣れたのだ。最後の悪あがきで良い釣りができたのではないだろうか。 それでは今日も、No Tsuri-ba! No Life!手は震え、動悸も止まらない釣りWebフリーマガジン