どうもこんにちは!ツリーバ編集長のヒビヤです。

滞在二日目となったこの日は源流の釣り本番である。ただし初めて詰めるポイントのため勝手が全くわからない。降りられるのかどうかさえわからないのだ。しかし行ってみなければ何も始まらない。

源流の釣りそのものはとても簡単なものだが、こうしたことが釣りを難しくしている。あとはやるかやらないかだ。

荒れたダート林道をカブでグングンと上がって行くが前回に比べ気温が高いせいだろう、燃調がかなり濃くなりエンジンがボコボコして吹け上がりが悪くなってしまう。

もともとニードルジェット、あるいはジェットニードルの摩耗により通常よりは濃い目のセッティングになってしまっているものだから余計である。

この時ワタシもまだ咳喘息の症状がひどく、ゴホゴホと咳き込みながらの釣行。カブの苦しさがなんとなくわかったような気がする。

結膜下出血を起こしたのもどうやら咳のしすぎが原因のようだ。

42年ものの人間と、22年ものの乗り物なのだから仕方がない。

カブはどこかのタイミングでメンテナンスをしなくてはならない。またそれもオートバイに乗るための楽しみだ。ワタシは時間と薬で治るだろう。しかし自分のメンテナンスはあまり楽しいものではない。

どこでも登ることのできる一速を駆使しこれ以上カブでは登れないと言うところまで登るとそこからは1時間ちょっとの登山である。

2時間ちょっとはかからないことが幸いだ。

ワタシのような山岳地帯での釣りを愛するものにとって一番怖いのは滑落や落石、そして獣の存在だ。

ワタシの師匠たちはみな爆竹を鳴らし熊にこちらの存在を知らせてから薮に入っていくと言う。熊鈴などはあまりあてにはできないようだ。

一番効果的なのは人の話し声だそう。だからワタシはたまに声を出したり、独り言を話したり、手を叩き鳴らしたりしながら登山を続ける。

なにせワタシ以外に人間がいないのだから。

事前に山岳地図で目星をつけておいたあたりに到着し比較的等高線の緩やかなところから藪漕ぎをし沢へと降り立つが遡行先に見える川の曲がりがどうも怪しい。魚がいそうと言う怪しさではなく通過できるのかが怪しい。

やはりここまで来るとあまり人は入っていないのだろう、すぐに良型のイワナが釣れた。

少し進むと深い淵がありカクンと右に折れているのだが、思った通りその先へ進むのが難しそうだなどと思いながら淵をそーっと覗くと良型のイワナがフラフラと泳いでいるのが見える。

高さのある岩の上から狙う形になるため立ち上がっては気づかれてしまう。

岩に這い蹲り腕を大きく伸ばしイワナの鼻先へ毛鉤を打ち込むとスっとイワナが動いた。

何度か打ち込んでいるとイワナがそれまでより大きく動いた。直後に合わせを叩き込むと乗った。思いの外引きは強くしばらくのやりとりを楽しみタモに入れる。前回は全てリリースしたが今回は燻製用にキープだ。

テン場に戻り山の仙人サトヤンさんに言われるまで気がつかなかったが、立派な尺上だ。

しかし問題はやはりカクンと右に折れたこの先である。滝とまでは言わないが大きな落差のある落ち込みを越えるには足場がなくなんとか岩に取り付くも掴み所がない。その上オーバーハングしており簡単そうに見えて難しい。

こうした難易度の高い場所の上に魚がいそうな気がしてならないが巻道を探すもそれはそれで難易度が高い。一度退渓してから降りられる場所を探した方がよさそうだ。

いよいよ踏み跡のドン詰まりまで行き降りられる場所を探すがどうにもこうにも見つからない。なにせこの下はえぐれがあり落差は5メートルほど。ザイルを使ったとしてもこれはワタシの技量を超えている。

さらに尾根に沿って登ってみたりと右往左往するがどうにもならなかった。しかし雰囲気はわかった。どこかに必ず進むため、あるいは降りるための何かがあるはずだ。

のちに降り方を師匠の一人から聞くことになるのだが。

仕方なく少し山を降り去年入渓に手こずったエリアを詰めて行く。このエリアで良型が1匹顔を出したところで一度退渓し更に下流にある急斜面を半ば滑り降りながらやせ細った流れの前に立ちリュックからテンカラ竿を引っ張り出す。

穂先が無い。。。。

栓をし忘れていたようだ。

しかし折れたのはリュックの中のはず。それなのに穂先はどこにも見当たらない。渓流竿で代用すると言う手もあるのだがタックルボックスの中にリリアンがあることを思い出しこのまま思い切ってテン場へと戻る。

こう言う時のために買っておいたリリアン。10年ぐらい前のものだが未開封なのだから大丈夫だろう。

リリアンの太さが合わない。。。

ちょうど師匠の一人が到着したところで穂先が折れてしまった話をすると太めのリリアンを持っていると言う。リリアンを分けていただきカブで再び山を登り、一度は諦めたポイントへ滑り降りながらやせ細った川へと降り立つとテンカラ竿を試しに振って見る。多少調子が変わってしまったようだが問題なく毛鉤を打ち込むことができた。

よかった。これでまたテンカラ竿を降る事ができる。

やせ細った川の中を見ながらゆっくりと遡行していくと優に尺を超えていると思しきイワナが優雅に餌を待ち構えフラフラと泳いでいるのが見える。

しかしこちらの足場はフラットで近づけば確実に気づかれてしまう。

ガレ場に這い蹲り匍匐前進でイワナとの距離を詰める。上半身右側だけを持ち上げさぁ毛鉤を打ち込むぞと竿を振り上げたその時であった。

ズババババババババババババババ!

突然水面を何かが走った。思わず身構える。

それに続き何か小さな丸いものが川を遡上していく。

薮から突如として現れたカモの親子。。。

ホッとするやら苛だたしいやら。。。

これ以降、遡行しながら毛鉤を打ち込んで行くが全く反応が無い。意識が遠のきそうなほどに反応がない。

大水が出た時に崩れ落ちたのだろう、人よりはるかに大きな岩がゴロゴロと密集するいつか見た場所まで来ると前方に何か動く影が見える。それはすぐに人だとわかった。

わかったのだが先行者だとしてどうにもこうにも腑に落ちない。

帽子も被らずジーンズにTシャツ、偏光グラスやサングラスではなく普通の黒縁メガネ。

釣りをしているのかよく見えなかったが逆に釣り人でなければなんであろうか。しかもどう頑張っても途中からは徒歩でそれなりに歩きそれなりに藪漕ぎ、あるいは沢づ伝いに来なければならい場所である。

遡行して来れないことは無いが堰堤や滝もあり、装備が軽すぎる。

見えてはいけないものが見えてしまったのだろうか。

それが見えたところで沢伝いに退渓し、1時間以上かけて下山することにした。

運良く途中で熊などの獣とは出会う事もなく、唯一出会った四つ足の生き物はこいつだけだった。

明日は藪沢へでも行こうか。

それでは今日も、No Tsuri-ba! No Life!


https://tsuri-ba.net/wp-content/uploads/2018/09/7A8354C9-5853-478F-A98A-F73BA1899C85.jpeghttps://tsuri-ba.net/wp-content/uploads/2018/09/7A8354C9-5853-478F-A98A-F73BA1899C85-150x150.jpegtsuri-ba渓流・源流の釣りイワナ,テンカラ,檜枝岐,毛鉤,源流どうもこんにちは!ツリーバ編集長のヒビヤです。 滞在二日目となったこの日は源流の釣り本番である。ただし初めて詰めるポイントのため勝手が全くわからない。降りられるのかどうかさえわからないのだ。しかし行ってみなければ何も始まらない。 源流の釣りそのものはとても簡単なものだが、こうしたことが釣りを難しくしている。あとはやるかやらないかだ。 荒れたダート林道をカブでグングンと上がって行くが前回に比べ気温が高いせいだろう、燃調がかなり濃くなりエンジンがボコボコして吹け上がりが悪くなってしまう。 もともとニードルジェット、あるいはジェットニードルの摩耗により通常よりは濃い目のセッティングになってしまっているものだから余計である。 この時ワタシもまだ咳喘息の症状がひどく、ゴホゴホと咳き込みながらの釣行。カブの苦しさがなんとなくわかったような気がする。 結膜下出血を起こしたのもどうやら咳のしすぎが原因のようだ。 42年ものの人間と、22年ものの乗り物なのだから仕方がない。 カブはどこかのタイミングでメンテナンスをしなくてはならない。またそれもオートバイに乗るための楽しみだ。ワタシは時間と薬で治るだろう。しかし自分のメンテナンスはあまり楽しいものではない。 どこでも登ることのできる一速を駆使しこれ以上カブでは登れないと言うところまで登るとそこからは1時間ちょっとの登山である。 2時間ちょっとはかからないことが幸いだ。 ワタシのような山岳地帯での釣りを愛するものにとって一番怖いのは滑落や落石、そして獣の存在だ。 ワタシの師匠たちはみな爆竹を鳴らし熊にこちらの存在を知らせてから薮に入っていくと言う。熊鈴などはあまりあてにはできないようだ。 一番効果的なのは人の話し声だそう。だからワタシはたまに声を出したり、独り言を話したり、手を叩き鳴らしたりしながら登山を続ける。 なにせワタシ以外に人間がいないのだから。 事前に山岳地図で目星をつけておいたあたりに到着し比較的等高線の緩やかなところから藪漕ぎをし沢へと降り立つが遡行先に見える川の曲がりがどうも怪しい。魚がいそうと言う怪しさではなく通過できるのかが怪しい。 やはりここまで来るとあまり人は入っていないのだろう、すぐに良型のイワナが釣れた。 少し進むと深い淵がありカクンと右に折れているのだが、思った通りその先へ進むのが難しそうだなどと思いながら淵をそーっと覗くと良型のイワナがフラフラと泳いでいるのが見える。 高さのある岩の上から狙う形になるため立ち上がっては気づかれてしまう。 岩に這い蹲り腕を大きく伸ばしイワナの鼻先へ毛鉤を打ち込むとスっとイワナが動いた。 何度か打ち込んでいるとイワナがそれまでより大きく動いた。直後に合わせを叩き込むと乗った。思いの外引きは強くしばらくのやりとりを楽しみタモに入れる。前回は全てリリースしたが今回は燻製用にキープだ。 テン場に戻り山の仙人サトヤンさんに言われるまで気がつかなかったが、立派な尺上だ。 しかし問題はやはりカクンと右に折れたこの先である。滝とまでは言わないが大きな落差のある落ち込みを越えるには足場がなくなんとか岩に取り付くも掴み所がない。その上オーバーハングしており簡単そうに見えて難しい。 こうした難易度の高い場所の上に魚がいそうな気がしてならないが巻道を探すもそれはそれで難易度が高い。一度退渓してから降りられる場所を探した方がよさそうだ。 いよいよ踏み跡のドン詰まりまで行き降りられる場所を探すがどうにもこうにも見つからない。なにせこの下はえぐれがあり落差は5メートルほど。ザイルを使ったとしてもこれはワタシの技量を超えている。 さらに尾根に沿って登ってみたりと右往左往するがどうにもならなかった。しかし雰囲気はわかった。どこかに必ず進むため、あるいは降りるための何かがあるはずだ。 のちに降り方を師匠の一人から聞くことになるのだが。 仕方なく少し山を降り去年入渓に手こずったエリアを詰めて行く。このエリアで良型が1匹顔を出したところで一度退渓し更に下流にある急斜面を半ば滑り降りながらやせ細った流れの前に立ちリュックからテンカラ竿を引っ張り出す。 穂先が無い。。。。 栓をし忘れていたようだ。 しかし折れたのはリュックの中のはず。それなのに穂先はどこにも見当たらない。渓流竿で代用すると言う手もあるのだがタックルボックスの中にリリアンがあることを思い出しこのまま思い切ってテン場へと戻る。 こう言う時のために買っておいたリリアン。10年ぐらい前のものだが未開封なのだから大丈夫だろう。 リリアンの太さが合わない。。。 ちょうど師匠の一人が到着したところで穂先が折れてしまった話をすると太めのリリアンを持っていると言う。リリアンを分けていただきカブで再び山を登り、一度は諦めたポイントへ滑り降りながらやせ細った川へと降り立つとテンカラ竿を試しに振って見る。多少調子が変わってしまったようだが問題なく毛鉤を打ち込むことができた。 よかった。これでまたテンカラ竿を降る事ができる。 やせ細った川の中を見ながらゆっくりと遡行していくと優に尺を超えていると思しきイワナが優雅に餌を待ち構えフラフラと泳いでいるのが見える。 しかしこちらの足場はフラットで近づけば確実に気づかれてしまう。 ガレ場に這い蹲り匍匐前進でイワナとの距離を詰める。上半身右側だけを持ち上げさぁ毛鉤を打ち込むぞと竿を振り上げたその時であった。 ズババババババババババババババ! 突然水面を何かが走った。思わず身構える。 それに続き何か小さな丸いものが川を遡上していく。 薮から突如として現れたカモの親子。。。 ホッとするやら苛だたしいやら。。。 これ以降、遡行しながら毛鉤を打ち込んで行くが全く反応が無い。意識が遠のきそうなほどに反応がない。 大水が出た時に崩れ落ちたのだろう、人よりはるかに大きな岩がゴロゴロと密集するいつか見た場所まで来ると前方に何か動く影が見える。それはすぐに人だとわかった。 わかったのだが先行者だとしてどうにもこうにも腑に落ちない。 帽子も被らずジーンズにTシャツ、偏光グラスやサングラスではなく普通の黒縁メガネ。 釣りをしているのかよく見えなかったが逆に釣り人でなければなんであろうか。しかもどう頑張っても途中からは徒歩でそれなりに歩きそれなりに藪漕ぎ、あるいは沢づ伝いに来なければならい場所である。 遡行して来れないことは無いが堰堤や滝もあり、装備が軽すぎる。 見えてはいけないものが見えてしまったのだろうか。 それが見えたところで沢伝いに退渓し、1時間以上かけて下山することにした。 運良く途中で熊などの獣とは出会う事もなく、唯一出会った四つ足の生き物はこいつだけだった。 明日は藪沢へでも行こうか。 それでは今日も、No Tsuri-ba! No Life!手は震え、動悸も止まらない釣りWebフリーマガジン